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第15回岐阜県獅子芝居公演 見学メモ

2015年11月22日、恵那市の岩村コミュニティセンターにて開催された「第15回岐阜県獅子芝居公演」を見学しに行きました。

獅子芝居というのは、主役の女形が(なぜか)獅子頭を被って芝居を演ずるというユニークな郷土芸能。2015年時点では確かネット上にあまり情報もなく、以前から気になっていました。

この公演は年によって異なる会場で開催されているようです。車がないと行けないようなところだなあと思っていたところ、2015年の会場は鉄道駅の近く。調べたら何とか行けそう!と一念発起して見に行きました。

第15回岐阜県獅子芝居公演

日程: 平成27年11月22日(日)
場所: 岩村コミュニティセンター

※ 岐阜県獅子芝居公演は年によって会場が異なり、また出演団体も異なるようです。見学に行かれる際は、こちらのメモはあくまで参考程度にしてください。


まずは新幹線で名古屋まで。
こんな時間帯なのにかなり混んでいてびっくり。

特急しなの3号に乗り換えて恵那駅。ここで明知鉄道に乗り換えなのですが、本数が少なく次の列車を待つと開演時間ぎりぎりに(もしくは間に合わなかったかも?はっきり覚えていません)。
結局、駅前に止まっていたタクシーを利用しました。途中で湖のそばを走ったことだけ記憶に残っています。

タクシーで岩村駅に到着しました。(「え、駅でいいの?」と運転手さんに何度も聞かれましたが。)

会場の岩村コミュニティセンターは駅から徒歩5分。
写真ではわかりづらいのですが、駐車場のまわりに各団体ののぼりが設置されていてテンションが上がります。
ちなみにさらっと書きましたが、家を出てからここまでで既に4時間以上が経過しています。

今回は5団体7演目の公演でした。以下順に紹介。

1. 「おかめひょっとこ」(岩村町獅子舞保存会さん/恵那市岩村町)

おかめとひょっとこが滑稽なしぐさで踊るもので、プログラムによるとその場を浄める役割があるそうです。
もしかして最初は必ずこの演目なのでしょうか。ひょっとこよりもむしろおかめのノリノリな動きが印象的でした。

2. 「関取千両幟 稲川内の段」(横道獅子舞保存会さん/恵那市上矢作町)

最初に獅子単独での舞。神楽獅子に何となく似ている気がします。

続いて獅子芝居。相撲取りの稲川は、ひいき客鶴屋礼三郎の金二百両のために敵方の鉄ヶ嶽に勝ちを譲ろうと考え、心を悩ましていました。稲川の女房おとわは夫の心中を察しながら髪をとかします。
お芝居というよりは歌舞伎のような舞台。

なんだか不思議な光景ですが、この2人は夫婦です。

獅子頭を被ってはいますが女性の役なので、手の動きなどがとても柔らかい。(ちなみに中の人は男性)
また、獅子だけはセリフを喋らないのでかわりに太夫さん(でいいのかな?)が喋ります。なんだか人形浄瑠璃みたいで不思議です。

プログラムに書かれていたストーリーによると、稲川が出発した後、おとわが二百両で身を売って取り組み中に稲川に進上し、稲川は元気を取り戻して鉄ヶ嶽に勝利するらしいのですが、お芝居ではおとわが身売りを思いつくところまで。
最後に口上と短い舞があって終わりです。全体で約20分ほど。

3. 「高い山・曲・一つあげ・まむしとり」(津島神社金蔵獅子保存会さん/下呂市小坂町)

油単の赤い柄がとても印象的な金蔵獅子。たてがみを模した柄だと聞いたことがあります。
後ろの人が棒のようなものを持って油単をささえて(広げて)いるのですね。上下左右に大きく動くのですが、2人の息を合わせないといけないので難しそう。

最後の「まむしとり」では、舞台に置かれた蛇にいろんな角度から近づき、最終的にはくわえて飲み込みます。

あと、お囃子があまり聞いたことのない感じで気になりました。お隣りの長野県の獅子神楽とも違う気がするし、笛の音階と太鼓のリズムは(私がこれまで聞いた中では)広島の神楽となんだか似ている気がする…あっ、変なこと言ってたらすみません。東京以外の芸能にはあまりなじみがないもので…。

ここで1時間のお昼休憩。岩村駅まで戻り、構内にあった駅カフェ「キッチン ゆら」で豚丼をいただきました。
お味噌汁の“力強い味”にとてもびっくりしたことが記憶に残っています。

そういえば橋の上に獅子舞の像がありましたよ。

4. 「朝顔日記 川之場」(加子母獅子芝居保存会さん/中津川市加子母)

最初の舞、こちらも獅子神楽っぽい。獅子が力強く鈴を鳴らしながら舞います。左手に持っている白い棒は何なのだろう?

お芝居の「朝顔日記」では、獅子は盲目の深雪の役です。
深雪が働いている宿に夫の駒澤次郎左衛門が泊まりに来ますが、深雪に声もかけずに出発してしまう。宿の主の徳右衛門から話を聞かされ、不安に思った深雪は雨の中にも関わらず夫を追いかける。

増水した大井川に行く手を阻まれ、自分の身を悲観した深雪は川に身を投げようとするも、追いかけてきた下男の関助に止められる、というところまで。
こちらも女性らしい動きやしぐさが良かったですが、特に後半は獅子の一人芝居で、泣き崩れたり倒れこんだりと結構忙しそうでした。
そういえば獅子芝居の時は中の人はどのぐらい前が見えているものなのでしょうか。

いまさらですが、油単の色も柄も会によって結構違いますね!そして頭の上の髪(?)がカラフルでなんだか可愛いです。

5. 「忠臣蔵七段目 一力茶屋の場」(白山比咩神社獅子舞保存会さん/恵那市山岡町)

最初の舞はやっぱり獅子神楽っぽいです。
こちらも面白い油単の柄ですね。お芝居中に畳んでしまうのが勿体ないです(?)

こちらのお芝居では獅子はお軽の役。茶屋で密書を読んでしまった後、偶然訪ねてきた兄の寺岡平右衛門に話をするところから。
この場面では2人のセリフのやり取りも多く、お軽の女性らしい動きもさることながら、寺岡の演技も良かったです。

なんだか不思議な光景ですが、この2人は兄と妹です。

妹を犠牲にしようと斬りかかるも、涙が出てしまって寺岡は躊躇してしまう。そこへ大星由良之助(の声)が2人を止めに入る、ところでお芝居は終わりです。
それにしても、獅子が女性の声で「なむあみだぶつ…」と唱えるのはいろいろと違和感が(笑)

6. 「かけあげ・金蔵獅子」(津島神社金蔵獅子保存会さん/下呂市小坂町)

再び金蔵獅子。田畑を荒らす悪い獅子を、金蔵(天狗)とその相方のおかめが退治する流れです。
ちなみに金蔵獅子は写真やテレビなどで見たことがありましたが、生で見るのは実はこの日が初めてでした。金蔵の動きが軽快でかっこいい。そして獅子強い。

たまにみなで休戦(?)します。

金蔵が獅子を取り押さえ倒しますが、心優しいおかめは獅子を起こして逃がそうとします。その都度金蔵に怒られ、お尻ペンペン(?)

7. 「葛の葉姫の子別れ」(岩村町獅子舞保存会さん/恵那市岩村町)

トリは再び地元岩村町から。最初の舞はやはり神楽獅子っぽいです。途中で中の人がちゃんと獅子の耳を直していました。細かい。

お芝居は葛の葉姫が我が子を寝かしつけ、別離の悲しみを表しつつ、去り際にふすまに和歌を書き残す場面まで。
見ていて思ったのですが、女性らしい仕草もさることながら、獅子頭を被って細かく動かすのってけっこう大変じゃないのでしょうか?

それはそうと、獅子でありながら人間の女性でありながら本性は狐という状況に頭がこんがらがります。

クライマックス、まずは右手でさらさらっと狐の絵を描きます。
続いて子どもをおぶり、口に筆をくわえて「尋ね来て見よ」まで。

左手で左文字と逆文字。再び口にくわえて「篠田乃森に」。
最後の「葛乃葉」はなんと、右足で書きます。

プログラムの説明によると、次第に体が狐に戻っていく中で最後に残された人間の部分を使い歌を書くということだそうですが、獅子頭を被った状態でのこの演技はすごい。


おまけ:岩村城下町散策

実は来るまで全く知らなかったのですが、岩村はもともと城下町で、いまも「重要伝統的建造物群保存地区」として古い町並みが残っています。
帰りの時間までに少し廻ってみました。

…おおおぉ、いい感じじゃないですか!(写真がことごとくヘタなのはすみません。)
内部が見学できる建物もいくつかあり、古民家や古い町並みに興味がある方ならかなり時間がかかると思います。写真にはないですが、少し外れた路地なんかも良い雰囲気でした。駆け足だったのが本当に残念。

個人的にはこの「いらんこと聞いて下さい いらんこと教えます」というのがツボでした。何を教えてくれるのでしょう?(笑)

いわむら観光協会のWebサイトによると、10月の「いわむら秋まつり」や11月の「いわむらおかげまつり」にて、岩村町獅子舞保存会さんの獅子舞が披露されるそうです。興味がある方は訪ねてみて下さい!


おまけ2:明知鉄道

帰りはちゃんと明知鉄道に乗って帰りましたよ。
岩村駅にはなんだかマニアックなものが。

隣の駅は「極楽」というそうです。すごいなー、今日は東京から日帰りで極楽の一歩手前まで来てしまったのか(笑)

こちらが極楽駅。ちょっと気になったのですが、もう暗かったのと、次の列車までかなり間があいてしまうので諦めました。

恵那駅でJRに乗り換えて、名古屋から新幹線。夕飯を食べる時間がなかったので、名古屋駅で駅弁(みそかつ弁当)を買って車内で食べましたとさ。


岐阜県獅子芝居公演の補足情報

※ 岐阜県獅子芝居公演は年によって会場が異なるようです。以下の情報は「岩村コミュニティセンター」に関するものですので、参考程度にしてください。

アクセス

明知鉄道岩村駅から徒歩5分。
本数はあまり多くないので、車の方が便利かも知れません。(駐車場はありました。)

食事

駅前にもう一軒お店がありました。また城下町の方に行けばさらに飲食店があるかも知れません。
ちなみに会場では特産品の物販もやっていて、野菜などの他に食べ物も売られていました。確かおこわを買っていただいた記憶があります。

その他注意事項

何と言っても開催場所が毎年異なる点でしょうか。今後時間がある限り弊サイトで日程調査をしていく予定ですので、ぜひご参考にして下さい。


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初版公開日: 2020年4月24日

見学メモ内のテキストと写真は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 4.0 国際 ライセンス の下に提供されています。
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